「思い込み」

 皆様、思い込みは有りますか。

 思い込みを辞書で調べると「深く信じ込むこと、固く心に決めること」と出ています。

 瞬間瞬間の思い込みからくる言動は目に付くものですが、その事が日常化、習慣化されると、習わしと云う表現に変わる事が有ります。また、同じ行動を多くの方がする事で正しい事と皆に認識されていく事が有ります。

 思いが強く先行して、行動が奇異に映った時、「思い込みが激しい」と云う言葉で「思い込む」と云う言葉の意味を最も分かり易く表わしてくれます。

 人は、思い込みにより、多くの物事や人を排除したり強要したり、喜んだり悲しんだりします。

 自分は万能な人間と思い込んでいる方もおられます。

 人が「何故」と思ったり口にした時、自分の思いとは違う、想定外の事が起こったと云う事です。

 思い込んでいた自分の考えでは無い、別の考えが有る事を知る瞬間です。

 人は一日に何度「何故」をつぶやく事でしょう。多くの人と接する機会が有る人程、この「何故」の思いが多くなり、また、それは、自分の思い込みの多さに気付かせて頂ける時でもあります。

 気付きの連鎖の始まりです。

 思い込みは、本人は深く信じているので、自分の思いが他の方と違うなど、思いも考えもした事が無いと云うものです。

 ですから、善し悪しは別として、自分の思い込みに気付く事は、大きな心や考え方の成長に繋がるので、人として無くてはならない機会です。

 人が大きく影響を受ける思い込みの一つに数の力が有ります。最も民主的かつ平等に思える数の説得力です。

 私がよく足を運ぶ地域では、女性の就業率が、非常に高い。結婚し子供を授かって一年以内に職場復帰が暗黙の了解なのです。生まれてすぐ、親の元を離れて保育所に預けられる子供が大多数です。

 子供の二十年後三十年後の為には三歳迄の母親の愛情が何よりも大切ですと常に伝えていますが、この地域ではこのような考えは間違いに成るのです。

 事実、出産後、家事、子育てに真剣に取り組み職場復帰しない若嫁に、舅、姑や親戚筋から陰口を言われたり、地域の方から非難の的に成っています。若嫁は働く事が第一、の思い込みの数の力です。

 以前もこの場で、子育ては、母親が子供に育てて頂く最高の時期とお伝えしました。

 毎日変化する子供に母親としてどの様に対応し、学んでいくか、子供が三人いれば、性格、感性、運動能力等々違うので、母親は、三人の人間に育てて頂けるのと同じなのです。

 母親にとっても子供にとっても、最も大切な三年間を別々に過ごす事による親と子の心の成長の影響力は重大なものです。この事に気付かない原因は、結果が二十年後三十年後に出て来るからでしょう。

 自分の思い込みにより、負の連鎖に、自らを負の世界へ導く可能性が高い事を意識して下さい。

 自分だけでなく、家族や周りの方々を、苦しみの中に誘い入れていないか。

 悲しみ苦しみが今、目の前に有る方、自分は今迄、何か思い込みをして来たのではないかと。

 秋の彼岸の長夜、お経を尺度に一度自分から少し離れ、お経を通して自分を見た時、一つ気付くことにより、次々と思い込みに気付く事となり、自分の考えの多くが、何の根拠も無い思い込みで、多くの人生の時間を費やしてきた事に気付かれる方もおられるのではないでしょうか。

 『彼岸によせて』は、仏縁有るお一人お一人が、静かにご自身の歩まれて来た生き方、考え方を、親の思いや、ご先祖様方の思いを心に深く置いて、正しく過ごせて来たかの確認の場に成ればと思います。

合掌