アメリカ、ニューヨークで起きたテロ、それに対して報復準備を進めている。皆様はこの件に対してどのような考えをお持ちでしょうか。

 勝ち負けには、目の前で起こる勝ち負けもあれば、人間の思考力の範疇にはない、遥かに高いレベルの勝ち負けもあります。人間は勝ち負けだけで生きている訳ではありません。学ぶという力が、他の生物より優れています。人間の子供は勝ち負けで教えられるより、愛情を持って正しいことを教えられることにより、より高いレベルの心を身に付けるものです。

 それでは、その様な心は、いつ誰によって身に付ける事が出来るのでしょう。

 それは家庭です。親が何が正しい心かを知り、正しい愛情と正しい厳しさの中で子供を育てる事が出来れば、目の前の勝ち負けに気を奪われる様な、愚かな心の人間に育つ事はないでしょう。

 では正しい心とは、どのような心を云うのでしょう。この価値観が大切です。

 日本の様に自由な国では、それは個人の考えによると云うことになるのでしょうが、その考えが大間違いであったことは、昨今の青少年の生活や犯罪を見れば理解出来るでしょう。レベルの低い考え方では、自分にとって都合の良い事は正しく思え、都合の悪いことは悪と思えるのです。もっと云えば、欲のかたまりである、私達人間は、目の前の欲しか見えていないので、己のみが一番正しいと思えるのです。しかしこの考えでは、いつまでも争いが絶えません。

 そこで、より高いレベルの考え方を、神佛は人間に教えておられます。それがお経です。お経には人間の姿をしている私達の中に、どの様な心が入っているか自己診断する事から始める様に、と説かれています。先ずは、自身をこの世に出して頂いた親に、どれほどの感謝をし、この親に孝を尽くす心がどれほどあるか、その事を毎日どれほど実行しているか。また今命を頂いている事は、今日までの何万と言う御先祖様の命の引き継ぎのお陰である、その事にどれほど感謝をし、その感謝を表す為に毎日どの様な事を実行しいるのか。その行動をよくよく振り返って頂く事が、先ずは大切でしょう。仕事や趣味に忙しいと、御先祖、親をそっちのけに、自分の欲を満たそうと日々の尊い時間を過ごしている方は、お経からすると餓鬼や畜生の心の持ち主と云うことになります。

 それに対し、親、先祖が最もお喜びになり、因縁も成佛して頂けるお経を毎日読誦し、親に孝を尽くす事を実行している人が、最も尊い心の持ち主とされております。

 秋の彼岸、この日より、家族揃って仏壇の前で静かにお経を頂き、お経に書いてある事を、毎日の仕事や生活の中で実行していけば、正しい人間の心に知らぬ間にならせて頂いているものです。その様な時間が一日一度頂ける生活も、必要な時期に来ているのではないでしょうか。

 勝とは、本来、この世に持ち来たった相手の魂と肉体を、最大限に生かしきれる己と成ること。相手に自分の我を、ただ押しつける低いレベルの己にならない様に。

合掌